「すいません」
……、うん? 『ごめん』じゃなくて?
「今日は、っていうかこのキャンプは、5人で遊ぶために来たんで」
「「――……」」
水島くんは意地の悪そうな眼差しで、ぽかんとするわたしたちを見遣ってから、先輩たちに向き直る。
「せっかく誘ってもらったのに、すいません」
そう謝罪しながらも、水島くんは明朗な笑みをたたえていた。
……参りました、水島くん。
緑に包まれた浅瀬で空を仰いだのち、しっかりと水鉄砲を握り締める。
「京に一斉攻撃開始ぃーー!!」
瞬の掛け声に一度目を剥いた水島くんは、また満面の笑顔を浮かべてくれた。
――ねえ、水島くん。瞬も、みくるちゃんも、ハカセも。
この時間をずっと、忘れずにいてくれますか。
ひと際濡れたわたしたちは一足先にリバートレッキングを終え、昼食を取る前にお風呂へ入れられた。
その後、他の生徒は外でキャンプファイヤーのやぐらを立てていたから昼食も5人だけで取り、午後は生徒全員でクイズ大会をして3位になった。
わたしたちに与えられた景品はどこにでも売っているお菓子で、『しょーもない』って笑い合った。
2回目のディスカッション。みんなで献立を考えて作った夕食。今夏はじめてのキャンプファイヤーに手持ち花火。すっかり慣れたお風呂。サマーキャンプに来て学んだこと、っていうありきたりなレポート課題。
どこにいても、なにをしても、心が揺さぶられるのは5人でいるときだけだった。



