「京っ……お前、体力底なしか……っ!」

「もう疲れちょるんか。情けないのー」

「みっ、水島く……わたしも、ギブ……」

「万代は水泳部じゃろー!?」

陸上と水中はちがうっ!


肩で息をするわたしはなにも言えず、項垂れる。


岩肌に水が張った程度の遊び場で、わたしたちはびしょ濡れになっていた。


おかしい。本来であれば、マイナスイオンを浴びるだけだったはず。他の生徒は足の裏から感じる涼しさを体感しているだけなのに、どうしてこんなに疲れているのか。


「京ってほんとに水遊び好きなんだね……」

「それより誰か京を止めたほうがいいと思うよ」


しゃがみ込んだハカセの言う通り、そろそろ引き止めたほうがいい。


ザーッと水しぶきを上げて流れ落ちる滝の前で、水島くんは先生が持参していた水鉄砲の中身を補充している。


まずい……わたしの水鉄砲、半分も残ってない。水島くんのやつがいちばん大きいのに。


補充を完了した水島くんが振り返る。


ぴゅーっと空に向かって噴射された水も、蛍光オレンジと黄色の水鉄砲も、いやに輝いて見える。


一等輝き、楽しんでいるのは水島くんだろうな。


「京くーん」
「一緒に遊ぼうよーっ」


ふいに近くにいた女の先輩3人が水島くんに声をかけた。


「瞬くんたちも!」


先輩方は瞬とハカセを呼んだみたい。みくるちゃんと目が合ったってことは、わたしたちは含まれていない。


疲労は諦めてとことん付き合おうと思ったんだけど、必要なかったかな。