「あっ!!!!」


ふたりで微笑み合ってからしばらくして、背後から大砲のような大声が放たれる。


なに!? まさかクマ!? 急いで振り返ると――びゅんっ!と風を切って目の前を水島くんが通過した。


「……、……はい?」


固まるわたしの横で、ハカセが「どうしたの京は」と落ち着き払っている。


「――あ」


状況を呑み込めずにいたわたしは水島くんが駆けた先を辿り、納得する。


「万代! 滝ーーっ!!!」


足を止め、周りの生徒がびっくりするほど叫んだ水島くんに吹き出したのは瞬だった。


「どんだけテンション上がってんだよっ」

「ていうかあれ、滝……だけど、ちがうよね?」

「歩いた時間的に、ただの水遊びができるポイントだね」


みくるちゃんとハカセが言っているあいだに、向こうでは先生が水島くんに話しかけている。


「は!? まだ滝じゃない!? わかりづらいとこ連れてくんなやぁ~っ!」


ぶふっ、と。今度は全員が吹き出した。


「あははっ。水島くん! せっかくだから遊ぼーっ!」


ふくれっ面になった水島くんに叫べば、満面の笑みが返ってきた。