「万代、言ってたじゃない。今しかないって。今抱える気持ちだから、今向き合わなきゃいけないって。だからつらいし、考えてるから選択肢を見つけて、あたしに話そうと思ったんでしょ」
「……わたし、堂々巡りしてない?」
「してないよ! あの一瞬で前進したんじゃん! むしろ飛び越えてきたっていうか、急に爆弾落とされた気分だよ、あたしは」
しかも2連発だからね。と、みくるちゃんは笑いかけてくれる。
涙はいつの間にか止まっていた。
「ずっと、好きなんだろうなーとは思ってて。だけどりっちゃんにも話してなかったし、様子見してたんだけど……そっかぁ。京が、黙って、ね……」
みくるちゃんはしばらく考えるそぶりを見せたあと、「でもさ、」とわたしの腕に手を絡ませ、肩に頬を寄せる。
「万代は、まだ運があるほうなんじゃないかなぁ」
「……運? 幸せってこと?」
「幸せかはわかんないけどさ。万代はお別れも、その時期も決まってることを知ってるじゃん。だからきっと、自分がやるべきことは見つけられるよ。万代なら、できる」
「そう、かな……」
「なによ~っ、あたしのお墨付きじゃ不安ってか!」
体当たりされて思わず笑みを零すと、
「万代なら大丈夫。どんな答えでもあたしは応援するし、見守るの。助けが必要なら、飛んでくからね」
みくるちゃんはいっそう強く腕に抱きついてくれる。
涙はすっかり乾き、胸にこごっていたつらさは溶けて、重く感じなくなっていた。



