……ひとまず学校側は体裁を守れて、各担任から生徒たちに注意勧告もできて、ひと息つけただろうね。


「水島くんは、自分が1週間の自宅謹慎になっても、なんとも思わないの?」

「んー。親父に怒られるくらいだけん、なんてことなか」

「停学なんて大したことないって感じだ?」

「大したことなくはないじゃろうけど……まあべつにいっかって感じで、」


ははっと笑ってみた水島くんは顔を上げ、大きく目を見開いた。


「どっ、なん……は!? 泣いちょー!?」


ぐいっと流れてしまった涙を拭うと、水島くんが慌てて立ち上がる。


「どうしたが! 俺!? 停学のせいかや! 俺気にしちょらんって! こぎゃんこと、」

「停学はこんなことでも気にしないことでもないでしょ!?」


水島くんにとっては、べつにいいことなのかもしれないけど。だからわたしの涙に狼狽するんだろうけど。


「……俺のこと心配してくれちょるんなら、」

「心配してるんじゃなくて怒ってるんだよ! 水島くん頭いいんだから処分なんていくらでも操作できたでしょ!?」


足元に吐き出したむちゃくちゃな言い分に、また涙ぐんだ。


1週間をこんなにも、もったいないと思ったことはない。


学校がある日は水島くんに会えるって、当然のように思っていた自分を憎らしく感じたことだって、ない。