教室の窓から、正門へ向かう瞬のグループを見つけた。恒例のお疲れ会でもするんだろう。
自己採点を終えたわたしはりっちゃんたちと別れ、校舎の上へ上へと向かっていた。
屋上には所々に小さな水たまりがあって、気持ちまで塞ぎ込んでしまうような空が広がっている。
昨日の雨よりも、水島くんとプラネタリウムへ駆けた雨の日を思い出す。
塔屋に上がるための階段は相変わらず錆びており、触れると身震いするほど冷たかった。
そろりと目だけ覗かせ、寝転ぶ人影に面食らう。
やっぱりいた……けど、寝てる? バッグが枕?
……また閉じ込められちゃうよ。
階段を上り切り、屋上よりも高い塔屋に立つと、座っているときよりも見える景色が広大な気がした。
晴れていたらよかったのに。そう思わずにはいられないほど、目の前に広がる情景は鮮やかではなかった。
「――万代?」
「ひいっ!」と素っ頓狂な声を発したわたしは、自身の足元を見遣る。目を覚ました水島くんが起き上がっていた。
「あ、わ、ご、ごめん……!」
「んー……うん? 万代?が、なんでここにいるかや」
「あの、えっと、」
そうだ、わたし、どうしてここに来たんだっけ!
「今、何時?」
「え!? あ、えっと……14時46分です」
「うあー……また寝ちょった。バカかや俺」
目をこすっていた水島くんはわしゃわしゃと頭までかき回し、項垂れる。わたしはゆっくり腰掛け、そんな彼を見つめる。



