「そうだ、りっちゃんも一緒に行かない? 初詣っ」
「初詣かー。気持ちだけもらっときますわー」
「えーっなんで? 合格祈願しに行こうよ!」
「あたしの主義をお忘れか! 初詣の写真、楽しみにしてるーっ」
「あ、じゃあ、またね!」
りっちゃんに背中を押されて歩き出したわたしは、「連絡するねー!」と言ったみくるちゃんに手を振り返した。
「断ってよかったの? みんなを間近で見られるのに」
階段を上りながら、隣のりっちゃんに目をやる。
「わかってないなあ、万代は。一緒に初詣なんて、あたしのポリシーに反する」
「友達になっても、あくまで外野で観てたいんだね」
「当然! 人ひとり増えるってことは、意思もひとつ増えるってことだよ! あたしは恋バナも恋愛相談も聞かせてほしいけど、こうしたら?なんてことは言わないの。そんなことしたらラブウォッチャーとして終わる」
「……昔はモブキャラに徹したいとか言ってたよね」
その揺るぎなさには尊敬の念すら抱くけど、りっちゃんもいたらもっと楽しくなると思っていただけに、残念。
「というわけで万代。最注目カードがそろい踏みの初詣、報告よろしく」
ぽん、と肩を叩いてきたりっちゃんは親指を立てる。
苦笑しながら、りっちゃん好みの報告はできないだろうなあ……と思った。



