「やばい超かっこいいよ~」

「りっちゃんって、あの中で誰がいちばん好きなの?」

「バカだなあ万代は。決まってるじゃん。イケメンは全員好き。大好物。グループでそれぞれ違うタイプのイケメンだったら、なおイイねっ!」


目を輝かせるりっちゃんに、揺るがないなあと思う。


面食いなところは幼等部のころから、中等部で2年連続同じクラスになっても変わらない彼女の特徴。


でもなあ……りっちゃんじゃなくても、あのグループに騒ぐ人はたくさんいるからな。



体育館とA棟校舎のちょうどあいだに存在する中庭。


わたしとりっちゃんのように渡り廊下で立ち止まる生徒もいれば、4階建ての校舎から覗き込んでいる生徒もいる。


目下注目を集めているのは3年A組のとある仲良しグループ。


その中の最たる人気者と言えば、水島くんしかいない。


人気者というか、モテるというか。


中等部で一等かわいいと名高い子の告白すら断ったとき、『じゃあ誰ならOKなの!?』と女子たちが驚愕していたのは記憶に新しい。



「あ~。ボールでいいからあの中に入りたい」


サッカー中の水島くんたちを眺めるりっちゃんは、うっとりしながら人間でいることさえ放棄する。