「ホットコーヒーとホットミルクティーと、野菜ジュースとウーロン茶と水」
お母さんのもとへ戻ると、呆れた表情を向けられた。
「野菜ジュースでいい。あったかいのは持ち帰りな」
「じゃあ残りは冷蔵庫に入れておく。あとヨーグルトと栄養バーも買ってきたから、お腹空いたら食べてね」
食品を片付けているあいだ、視線を感じた。
「どうも。あとはいいから帰んな」
「……お見舞いに来たんだよ」
「だから、どうもって言ってるでしょ。アンタもうすぐ期末なんだから、勉強しなきゃいけないんじゃないの」
横にいるお母さんのほうを見ず、どうでもいいのにビニール袋を丁寧に折りたたむ。
「勉強ならここでする」
「は……? 家でやったほうが効率いいでしょうが」
「家に帰っても、集中できないもん」
「なに言ってんの? もしかしてあたしのこと気にしてんの?」
握り締めたビニール袋が、くしゃりと音を立てる。
「あのね、大したことないって言ってるでしょ。世話焼かれる筋合いないわよ」
お母さんのため息は、『いい加減にしてほしい』と言っているみたい。
うっとうしい。面倒くさい。そう思われても仕方ない。だけどわたしは絶対に、ここから動かない。ちゃんと確認するまで、帰らない。
「邪魔なら邪魔って言ってほしい」
あの日みたいに、関係ないって。
ほっといてほしいなら、どっか行けって言えばいい。



