◇
水島くんとプラネタリウムに行ってから丸1週間が経ち、火傷も癒えてきたころ。みくるちゃんに誘われ、瞬の部屋で塾の課題をこなしていると、
「瞬って万代のこと、けなしてばっかり」
「あ?」
突然ふたりが互いを見て顔をしかめた。
「素直に勉強頑張れって言えないの?」
「みくるちゃん。わたしなら大丈夫だよ」
「あたしが嫌なのっ! 万代よりちょっと成績いいだけのくせに、どの口が言ってんのよって話じゃん!」
「う、うぅーん……、それはわたしも思ってるけど」
「おい万代。今なんつった」
「慣れたって言った」
「慣れなくていいのよバカッ!」
バ、バカ……。みくるちゃんに言われるほうがつらい。
「悪いが俺は変えたい自分なんて見当たらねえ」
「微塵も悪いなんて思ってないくせに」
「せめてもの謙遜だろ」
ふん、とベッドに寝転ぶ瞬はゲーム機を手放さない。
なんて呑気なんだろう。
「万代てめえ、俺がレベル上げするまでに課題終わってなかったら背負い投げるからな」
理不尽にもほどがある。
そんなこと言ったら、にやにや笑って技をかけてくるから絶対に言わないけど。
「瞬がゲームをした時間の分だけ、わたしの順位が上がればいいと思う」
「あたしはゲームをした時間の分だけ、瞬の順位も落ちればいいと思うよ」
あ、そっか。みくるちゃん頭いい。あと、瞬に対してだいぶ容赦ない。
ふふふと笑い合えば、瞬の鋭い目つきも威力半減だ。



