「見られるよ」
視線をよこされても、検索結果から目を離さずに言う。
「本物じゃないけど、季節も時間も空気の透明度も、天候だって気にしなくていい」
「……本物じゃない?」
「ここから歩いて15分くらいのところ。文化総合センターの最上階に、プラネタリウムがある。ついでに図書館も入ってる。あと……科学館? これはハカセが好きそ、」
「行きちょーっ!」
どれにいちばん興味を引かれたのかわからないけれど、水島くんの目は、文字通り輝いていた。
「うん……。行こう」
日曜、午後3時47分。
偶然会った水島くんは満面の笑みで、雨の下を歩き始めた。
◇
「あーっ楽しかった!」
プラネタリウムを出ると、満足そうな笑顔が隣にあった。
「きれいだったね」
「な! 肉眼じゃあんなにはっきり間近では見れんし、得した気分っ」
「天体とか神話の勉強にもなったしね」
「選抜の勉強にはならんかったけどなー」
「またそうやって……」
「はははっ!」水島くんは無邪気に笑う。
……よかった。今日は元気がなさそうに見えたから、笑顔が戻って安心する。
エレベーターホールまでの1本道、水島くんは来館したときと同じように、壁一面に飾られている展示物を目で追っている。途中、持ち帰り自由のパンフレットまで手に取っていた。



