「つまり彼女ちゃんに万代のことを悪く言わせようとする空気があるんでしょ? 言わせたら、幼なじみくんを好きな子にとっては万々歳だもんね~」


そ、そういうことか……。

瞬がわたしを悪く言う人を許さないのは、前の彼女で証明済みだろうしなあ。


「じゃあ……みくるちゃんがわたしのことを悪く言ったら、瞬に告げ口できるってこと、だよね?」

「うん……。だから、むかついちゃってさ。そんなに瞬と近付く口実が欲しいならくれてやる!って思っちゃって」


バカだよねえ……と、みくるちゃんは項垂れる。


そっか。そういう友達間での問題もあって、みくるちゃんは『まあね』って言うしかなかったのか。



あの日、4人の中でいちばん最後にトイレを出たみくるちゃんは、個室で誰かが激しく咳き込むのを聞き、わたしじゃないかと思ったらしい。


そうして次の日からわたしが瞬たちを避け始めたから、自分のせいかもしれないって瞬に話したのだと聞いた。


怖さもあったはずなのに、言い訳にしかならないからって黙っていたなんて……みくるちゃんらしいといえば、らしいけど。


こうしてE組に来るくらいだもん、友達が彼氏を狙ってるって、つらいよね。


「瞬、その子の気持ちに気付いてるんじゃないかな」


今できることが、こんな程度で申し訳なく思う。


「瞬って無視はしないけど、そっけなかったりしない? 隣をキープさせないようにしてるなら、ほぼ気付いてると思う」