「そんな・・・」
思わず弥生の口から言葉がこぼれた。

　鈴木良太・・・まさかあいつの母親？まさか！？

　船底から水が入ってくるように、弥生は逃れられない息苦しさを感じた。肩が走った後のように上下に動く。


　女は生徒を見回すと、
「そう。私は、あなたたちにいじめられて蔑まれて、そして自殺した鈴木良太の母親です」
と言った。

「どうして！？なんでこんなことを！」
鳥岡が傷む足を片手で押さえながら立ち上がって叫んだ。

「どうして、ですって？先生、分からないの？良太は死んだのよ。この、あなたの生徒にいじめられてね。それは彼らが殺したも同然じゃないの」

「でも」

「でもじゃない！」
鳥岡の声を女の罵声がさえぎった。