タツヤが死体を運び終わったのは12時半を過ぎた頃だった。

 カーテンで仕切られた窓からは何も見えないが、高速を進んでいるのは分かる。

 疲れ果て、青い顔をしたタツヤが隣の席に戻ってきた時、弥生にはうれしさなんてなかった。

___むしろ迷惑

 あんな目立ったタツヤが隣にいるんだから、巻き添えでも食ったらシャレになんない。そう思うと、自然に身体をタツヤに触れないようによけてさえしまう。

「ごくろうさま」
女は満足そうにうなずくと、タツヤを見やった。

 タツヤはおもしろくなさそうな顔をしながら、あさっての方角を見ていた。