銃口に脅かされるように、ふたりは嗚咽を上げながら今田佳織の死体を持ち上げようとしている。

 恐怖からかなかなか持ち上がらず、やっと持ち上がったかと思ったらバスの揺れで音を立ててそれは落ちた。

「早くしなさいよ」
少しイラついたような声に、弥生はまた嫌悪感を覚えた。

___だったら自分でやれ、っちゅーの

 心の中で悪態をついていると、隣のタツヤがふいに立ち上がった。

 驚いて制止するよりも早く、タツヤは、
「あの~」
と右手を上に上げた。

「ちょっ・・・」
思わず声を上げてしまい、慌てた弥生は必死にそれを飲み込むととっさに女を見た。