女を見ると、さっきまで泣いていたのが嘘みたいに、冷静な顔をして生徒を見回していた。

 とっさに顔をうつむける。

___目立ってはダメだ。

 ああいう頭のおかしい女は、相手にすると大変な目に合う。だから、女の意識が違う方に向いているときだけ、弥生はそれをにらむようにしていた。

「さて、バスガイドの死体もだれか、後ろに片付けてくださる?」
まるでウェイターにでも頼むかのように気軽な口調がカンにさわった。

「誰か、やってくれないの?」
当然のように誰も答えないのが分かると、女は近くの席の生徒ふたりに命じた。

 あれは、誰だっけ?

 眼鏡の優等生タイプの子と、デブなくせにおしゃれをしようとしている子だ。

 あまり学校に行っていない弥生にはその名前が思い出せない。