鳥岡はやさしく笑う。

「大丈夫、動脈ははずれていたらしいから。私・・・死ねばよかったのにね」

「何言ってるんですか!」

「だって、私なんにもできなかった。みんなが次々と・・・死んでいく・・なかで・・・私はなんにもできなかった」
みるみるうちに涙があふれ、頬を流れ出した。

「そんなこと言わないでください!先生は立派でした。勇気がありました!」
何を言っているのか分からなかったが、潤は泣きながら叫んだ。

「そうですよ、先生は生徒を守ったのです。生徒たち皆が鳥岡先生のことを心配しておられましたよ」
植園が潤の肩に手を置いて言った。

「亡くなった生徒さんの親になんて言えばいいのか・・・。考えるのはそればかりです」
鳥岡が涙をぬぐいながら言った。それでも涙は次々にあふれだした。

「犯人は必ず捕まえます」
植園がそう言い、吉沢も力強くうなずいた。