着替えてからベッドルームのドアを開けると、その場にいた人たちが一斉にこちらを見やった。

 母親と、そして刑事であろうふたり組だった。ひとりは女性。

「あの、こちら刑事さん。潤に話を聞きたいって・・・」

「遅くなりすみません」
その言葉をさえぎるように、潤は律儀に頭を下げた。

「はじめまして。私は愛知県警の植園です。隣は吉沢」
黒いスーツの女性が話した。こちらが上司なのだろう。まだ30歳前後くらいで眼鏡に髪をひとつにしばったシンプルな女性だった。隣の部下であろう吉沢も軽く頭を下げた。

 向かい合うようにソファに座る。おそらくホテルでも良い部屋の部類なのだろう。今さらながら部屋の広さに気づいた。

「よく眠れましたか?」
女性が意外にも心配そうな声で尋ねた。吉沢がメモをとる。

「ええ、おかげさまで」
口角を上げてみせると、植園は一瞬目を開くと、その後おなじように微笑んでみせた。