「さて、皆さんにお知らせがあります」
女が山本より1歩前に出て言った。

 車内の空気が凍るのが分かった。


___次は誰?


 皆がそれを思っているのが分かる。つばを飲む音さえ聞こえてきそうなほどの静寂。


「皆さんもご存知のように、私たちの息子である鈴木良太はもうこの世にはいません。それはあなたたちが殺したから。良太の残したノートには、まだまだ皆さんに対する恨みが書かれてあります」

 いったん言葉を切ると、女は全員を見回した。

 幸弘とも目が合ったが、一瞬のことだった。