麻紀子の目が光を失ってゆくのを、皆川幸弘はすぐ近くで見ていた。もう誰かが死ぬことには慣れてしまっていたが、麻紀子だけは別だった。

 恋心を抱いていたとか、そういう安い理由ではない。麻紀子とは小学生から何度も同じ組になった、いわば『古い付き合い』だったからだ。

 その麻紀子が、今自分のすぐ右下の床で死んだ。

 言いようのない怒りが皆川幸弘を包み、叫びそうになる反面、冷静に麻紀子を見つめている自分もいた。