「ふっ…く…けん…ちゃん…」

涙がとまらない。
右半身まで動かなくなって、大切な人も失っちゃうなんて…

こんなに不幸なことなんか、無い。

「な…んっでぇ…」

けんちゃんは、すごく私のことわかってくれる、よき理解者だった。

近所にいる二つ上のお兄さんで、昔から憧れてた。
そんな人に、高一のとき告白されて…本当に嬉しかった。
いつも優しくて、私のこと大事にしてくれて…
私の心を暖めてくれた。

そんな、大切な存在を失うなんて…



私は、しばらく泣きつづけた。
声も嗄れて、涙も枯れて。

全てを失う恐怖を知った。