「素直に、何かを話せる人…いなかったんですよね?」

「……ん…」

涙をポタポタと流し、自分の右手で左腕を掴んで、下を向くはるさん。

「話して下さい。貴女の痛みが薄れるなら」

私がにこりと笑うと、はるさんは私の方を向く。

「…あたしは、最初から…珱平だけを見ていたわけじゃないの…あたしは、シンが好きだった。でも…兄弟だから。小さい頃から…なんか、そんな想いを持ってる自分がおかしいと思ってた…でも、いつだってシンが、キラキラして見えた」

そっか…
抱えてた想いが、兄弟揃って同じだなんて…

「…諦める為に、珱平に逃げた。でも、いつしか珱平でいっぱいになってた。それは…本当」

ちょっと苦い顔をするはるさん。

「でも、やっぱりどこかで引っ掛かってた。置いてきたはずの想いが」