両腕が使えなくなった私は、起き上がることさえ出来ない。

「ははっ何、あん…た……」

だんだんと血の気が引いてくる彼女。

きっと、演技じゃないって気付いたんだ…

「はやく起き上がりなさいよ…あんた…何やってんの?!」

バシッ

「ッ…!!」

頬に平手打ち。

バシッ…バシッ…

それも何回も。
まるで…私を叩くことで、彼女自身が自分を落ち着かせているみたい。

血の味がする…

「き…今日はもう帰る…もう二度、珱平に近付かないで。この…偽善者」

ガラガラッバタン

……偽善者…
…私は偽善者なのかな?
珱平に偽りの善を…与えていたのかな?