「貴方が気に病む必要はありません。私は貴方が幸せであるように、祈っています。だから、大丈夫」

「なんか…マリア様みたいですね…俺、音大通ってて…マリア様、いるんですよ。教会があって、そこに像が」

「マリア…様?…もしかして、海山田音大ですか?」

「えっ…はい…なんで知ってるんです?」

「いえ…私も、そこの生徒なので…」

「えぇっ!?」

ガターンッと音をたてて、イスが転げた。

「本当ですか?!」

「はい…私、二年の八乙女 珀と言います」

「や…八乙女…あの、超優秀な…」

「超優秀ではありません。まだまだ未熟で…」

「ありえねぇ…そんな人…事故に巻き込むなんて…」

彼はまた、ブツブツと言い出した。