「………… そう、だったんだ…」

あたしは、翔くんとタケルさんの話を聞きながら、呆然としていた。

あまりにも、世界が違いすぎて。



「金髪にしたのは、バンド活動のため?」

「んー… まぁ、それもあるけど… コイツ、見た目派手だし。でも結果的にリトマス試験紙にもなって良かったよ。」



――… リトマス試験紙?



「どういう意味?」

「所詮、ひとは見た目で判断されるってこと。」



わかるような、わからないような。



「うちに来てから、お昼間ずっとここに来てたの?」

「うん。陽菜ちゃん家からならここ近いし、夏休み中通えて便利だなと思って。」


「便利だから…… うちに来ることを承諾したの?」

「まぁ、それだけじゃないんだけど…」


―――… それだけじゃ、ない?



「じゃぁ―――… あの、“鹿島さん”は…?」


プッ、と翔くんが吹き出してくすくす笑い始めた。


「なんか、俺さっきから質問責めだね。」



「いや、でもそれ、良い質問だと思うぜ。」

「―――… タケルさん?」