立ち止まって話す私の横に
車が停まり、窓が開いた。

「何その顔、
もしかして俺の事忘れたの?
番号教えた相手の事 忘れちゃいかんでしょー」

いやいや、その
怖い容姿を忘れるはずないし。

そもそも、私が
番号教えたわけじゃないし・・・

「亮くんでしょ?
覚えてるけど・・・・
どうしたの?」

「どうもしないけど
さっき、おもしろくなさそーに歩いてる女がいるなーなんて
車で通りかかったら
春菜じゃん?
だから わざわざUターンしてきたんだけど・・・」

「うそ!?
私 おもしろくなさそうに歩いてた?」

「あーつまんなぁい、誰か一緒に遊んでー?
って感じに見えたんだけど?」

「・・・ありえないし」

「あははは、ありえないけど。
ひとまず 暇なんじゃないの?」

「暇っていうか・・・
今から帰る所」

「じゃー暇じゃん。
ほら、乗って」

「え?乗るの・・・?」

「そんな警戒されると
かなり傷つくんですけど・・
久保の彼女だから
何もしないって!
したら 俺の命が危ないし。
ほら、乗って」

ドアまで開けてもらって
乗らないわけにはいかず・・・

「キョロキョロして
そんな この車珍しい?」

「珍しいっていうか・・・
輝樹達と 違うタイプだから・・」

亮くんの車は 輝樹達みたいに
いかにも怖い感じじゃなく
ヒップホップ系のお兄さん達が似合いそうな
カラフルに塗装された
改造されまくった アメ車だ・・・

「そりゃ、俺は
あいつらみたいに
ヤンキー上がりじゃないもん?」

ヤンキー上がりって・・・