風が、地面が、 空気が、 ゆっくりと斗真の中に入っていく。 前田の息づかいが聞こえた。 地面を蹴る音が重なっていく。 走りながら、昔を思い出した。 この感覚はどこかあの時と似ている。 小学校の運動会で走ったリレー。 母も、父もみんなが笑っていたあの日。 走ることが好きで、無我夢中だったあの頃。 あの時の感覚が蘇っていく。 楽しい。 気持ちいい。 嬉しい。 楽しい。