それから前田と青柳は今日まで離れていた心の隙間を埋めるように昔話を始めた。

よく悪さをしていた前田の武勇伝や時々青柳の意外な一面を発見したりして、一緒に聞いていた俺も思わず顔が綻んだ。

なんてことのない、たわいもない話だけれど二人はこの上なく幸せに満ちた顔をしていた。




心が、熱くなる。






こんなにも、

彼女を大事にしていたのだ、と。






前田の気持ちが痛いぐらい、ひしひしと伝わる。







恐らく、前田がそれを口にすることはないだろう。



きっと。永遠に。