共に行く者

「何でっ…。あっアタシはずっと…」

利実は強く手を握り、顔を上げた。

「ずっと和城のことが好きだったのに!」

「はあ?」

「ずっと…高校に入ってから、和城を一目見て好きになったの! だからグループに入りたかった!」

また唐突な話だな…。

軽い頭痛がしてくる。

「アタシのこと見てほしくて、一緒にいたのに!」

「一緒にはいただろう?」

「それはグループの仲間としてじゃない! アタシと2人っきりで会ってはくれなかった!」

確かにそれは言えてる。

オレはそもそも女という存在が苦手だった。

キライではない。苦手なんだ。

だから利実に関わらず、女と2人でいることはできなかった。

「だからっ…だからバカなことをし続けた! そうすればその時だけは、あなたはアタシのことを思ってくれるからっ…!」

「でもその感情は負のものだ。それで満足してしまった時点で、恋愛感情じゃなくなったんじゃないのか?」

「そっそれは…!」

言葉に詰まるところを見ると、利実も少しは感じていたらしい。

振り向いてくれないオレに対し、憎しみを抱いていることを。

「お前のオレへの気持ちに気付けなかったことは素直に謝る。…だがそれとお前の仕出かしたことの重さは全く違う」