かけがえのないキミへ



携帯に悲しい文字が並んでいた。

俺は優しく…ないよ。
一人で帰れるなんて言わないで。俺をもっと頼って?



綾音は俺を一人残して、手を振って暗闇の中へ消えて行った。


『綾音…』


手には綾音のサラサラな髪の毛の肌触りが残っている。
俺はその感触が消えないうちに、ぎゅっと手を握った。


気になっていたキミに近づけて、
でもキミは声を失った少女で、
名前は綾音という可愛らしい名前で──…


また、俺はキミに恋をする。



するとすっかり暗くなってしまった街の中に、ポケットから様々な光が放たれている。


俺はポケットに眠っていた携帯を取り出し、携帯を開く。


携帯の待ち受け画面に映し出された文字は、俺の顔が一気に冷るような表情にする文字だった。



『…梨花…』


陽気で煩い着信音が、余計に腹立たしくてたまらない一瞬だった。