この街が夜になろうとしている頃、俺は駅前の時計台の近くでキミを見つめていた。


キミから飛ばされるシャボン玉が、天高く昇っていく。


俺は一歩一歩、キミに近づいた。


電車が走る雑音で、俺の心臓のでかい音が消される。
キミはまだシャボン玉をしている。



キミと俺の距離はわずか数メートル。
だけどキミは他事に夢中。
ねぇ、俺に気づいて?



『隣、いい?』



俺はキミを見つめ、ベンチを指差した。

キミは戸惑いながらも、隣に置いてあった革のカバンをどかして、こくんと頷いた。


キミを真正面から初めてみる。
小麦色の肌に、まん丸な瞳。化粧など余計なものなんてされていなくて、可愛い。

またキミに溺れていく。


俺はキミの隣に座り、空を見上げた。
空にはキミが飛ばしたであろうと思われるシャボン玉が気持ちよさそうに飛んでいた。