「お坊ちゃん、中学の勉強についてこれないなら、家庭教師に教えてもらった方が良いですよ?」

「誰があの程度の問題を解けないと言った!」

「アタシに頼むぐらいですから、難しいのかと…」

「そんなワケないだろ! あのぐらい、すぐに全部終わらせてやる! 準備しろ!」

「かしこまりました」

うやうやしく頭を下げ、お坊ちゃんの部屋に向かう。

机の上には山積みの宿題。

私立の有名校とは言え、宿題は公立校と同じぐらいは出るんだな。

机の上に筆記用具を出して、並べた。

そして再びベランダに向かう。

「お坊ちゃん、準備できましたよ」

「今行く」

首にかけていた白いナプキンを放り投げ、部屋に入るお坊ちゃん。

やれやれ…。

ヤル気にさせるのも、一苦労だ。