君を想う

「・・・ただいま」


俯きながら靴を脱いで


自分の部屋に向かった


「麻美・・・ごめんなさい」


お母さんが謝ってきた


どうして謝るの？


その理由がわからない・・・


「・・・もういいよ」


そう言って　階段を上がる


部屋のドアを開けて　閉める


本棚から　アルバムを出した


開くと　小さい私とお兄ちゃんと


お父さんとお母さんの写真・・・


これは・・・幼稚園の遠足の時だ


これは・・・家族旅行


春になると　桜がキレイだったな・・・


そういえば　転んで泣いた私に


お兄ちゃんが桜の花を耳に付けたんだっけ？


『ほら　これで可愛くなった』


『・・・お兄ちゃん』


『あら　麻美可愛いわね！


写真撮るわよー？』


まだちょっと泣いている私・・・


それから　小学校の入学式の写真・・・


懐かしいな


コンコン


「麻美？　入るぞ？」


お兄ちゃんの声がして　慌てて


アルバムを閉じた