「ごめん、先…帰る」
「えっ?おいっ」
呼び止める蒼井をシカトして教室の扉の向こうへと消える
蒼井をシカトしたのなんて
これが、はじめて
泣いちゃえば楽になれるのに
泣きたくっても、泣けなかった
声を張り上げて泣けばスッキリするのに
眉間にシワを寄せて
唇を噛み締めることしか、できなかった
真っ赤に染められた空の下、夕日に照らされながら得体の知れない何かを睨みつけながら、ただ、歩いた
少し後で亜也本人から聞いた話
亜也はあたしの気持ちを知っていながら
あの日、佑樹が告白するのに協力してたんだって
悪びれもせず教えてくれた
笑っちゃうよね
笑うしか、ないよね
あたしの中はどす黒く塗りつぶされて
憎しみ、嫉妬、苛立ち、裏切り、憎悪、不信感、崩壊、妬み…
もっともっと沢山の醜いキモチでいっぱいになった
キレイな気持ちなんて
一滴も残ってない



