─…震えているのは、あたしの手か蒼井の手か。
幾つか交わした会話は、独特の雰囲気に呑まれて憶えていない。
交差した会話の内容よりも、その空気に溶け込めたことが、なによりものカケラだった。
「…じゃぁ、また。」
指先から熱が離れていく瞬間。
「…うん」
名残惜しさの綿毛が、ふわっと舞った。
包み込まれている間は、切り放されたみたいにゆったりと時が流れ、永く感じていた時間も、
終わってみれば、あっという間で。
足りなくて、足りなくて。
─…このまま、さらってほしい。
なんて、乙女ちっくな想いが、瞳に生まれた。



