「…っ」
会話という会話ができるはずもなく、異様な程の静けさの中、か細い声だけが時折洩れる。
不可抗力で、涙まで滲んできた。
─…その時間が長かったのか、短かったのか。
「わっ!!」
「ぎゃーーーーーーっ!!」
背中に、トンッと触れた、何か。
きっとどこかで身構えていたんだろう。だからこそ、悲鳴が静寂を突き破った。
『あー』でも『きゃー』でもない、よく分からない悲鳴。
仕掛けてきた張本人を罵ろうと後ろを振り返ると、
「うるせー…」
苦笑いを顔に浮かべている蒼井。
だけどあたしは、麻痺していた。
「もー!やめてよー!」
背中に感じた“何か”が、蒼井の手のひらの温もりだったと気付いて、妙に身体の芯から体温が一気に広がっていくような、そんな感覚に。



