ただ、大好きでした。




「肝だめししよーぜー!!」


─…そう言い出したのは、誰だったか。





「…っ!」



─…ドクン



心臓の音が、ひっそりとした空間に、ヤケに響く。


土手を挟んで、さっきまで花火をしていた場所とは反対側の敷地。

そこに、まさに肝だめしをするのに相応しい小さな墓地と、それを護るようにしてお寺が佇んでいた。


「うわー…なんかでそう…」


そんな、いかにもな場所で、肝だめし。


「…そーゆーこと言わないでよー」


恐る恐る黒目を動かして周辺に向ければ、
月明かりと懐中電灯の頼りない灯りだけで、物凄く、不気味に浮かび上がって見える、石碑。


「…っ」


─…夏なのに、涼しい。


それは恐怖のせいなのか、ただ単に夜は冷えるだけなのか。



「もう帰りたいー」


弱々しくも、敢えて何かしら呟きながら、ギュッと隣にいる人の腕にしがみついた。



「あ、」

「な…っ、なに?!」



そうじゃないと、



「今、なんかいなかった…??」

「…え」



─…不安や恐怖に、浸食されそうで。