泣いた理由は分からないけれど。泣いたから、私が謝るのは……私が言ったこと全てを、私が否定することになるのかもしれない。
悔しいけれど。
新庄の言葉に、そんなふうに思ってしまって、気持ちが軽くなってしまった。
「別に落ち込んでないし! 私は普通に女の子を泣かせてしまったことに心が痛むだけよ! 女の涙見たってなにも思わないあんたと一緒にしないで!」
どんっと足を大きく広げ、新庄に立ちふさがるように胸を張ってそう叫んだ。
あんたなんかに言われて、っていうのが悔しいけど! だけど。今回だけはちょっとだけ感謝してあげる。
口には死んでも出さないけどね!
ふん! と鼻息を荒げると、新庄は特に反応を示すことなく私を見つめる。
黙って人を探るように見つめるのは新庄のクセなんだろうか。
新庄の鋭い視線に徐々に力が抜けていくのを感じていると、新庄はそれを見計らったように、ふ、と口角をあげた。
「お前は俺にほれんなよ?」
「クソが」
誰が惚れるか。
なにを言うかと思えば。バカじゃないの。私だって選ぶ権利はあるんですよね! 恋愛経験が低くてもあんたなんかには惚れないわよ!
「あんたこそ私に惚れないでよ? 気持ち悪いから」
「ブタが」
惚れられてたまるか。
ぎゅっと拳を握りしめて、唇を固く固く結んで、新庄の後を歩いた。
どんなけ、自信過剰なんだ。冗談じゃない。
「さっさと土下座すりゃいいのにな」
「あんたがすればいいでしょ」
なにを言われても私は言い返す。
新庄はなにを言われても、バカにしたように笑う。



