「付き合ってるんだし普通だろ」
「冗談じゃない! 死んでもいや! 死ぬ方がマシ!」
「照れるな照れるな」
「腐れ!」
私の言葉ににやにやする新庄にぞわぞわとしたものを感じる。こいつ、もう危ない。思考が危ない。
「安心しろ、お前抱くほど俺も腐ってねえ」
クソ野郎! そして何気に私に暴言はいてる。謝れや! お前はとことん腐ってるよ! 腐りまくってるよ!
「おい」
「なによ!」
えっらそーに! お前に“おい”って呼ばれる筋合いはねえよ!
クワ!っとかみつく勢いで顔を上げると、新庄はク、と笑いを含ませたようないやーな顔をする。
「なにしおらしくなってんの? 落ち込んでるとか? バカはバカらしくやってりゃいいのに」
……どういう意味だろう。
聞こえようによっては、なんか慰められている気もしないでもない。
バカにもされているのも分かっているけれど。
「そもそもなんで落ち込んでんの? お前の圧勝じゃん。怪我までして」
それで、やっぱり私が今少し落ち込んでいることに気づいていたのかと驚いた。そして、……怪我に気づいていたことにも。
ぎゅっと拳を作ると、傷口がほんの少しだけ痛む。
落ち込んでんのか? とかあんたの口から出るとは思わなかった。
なんであんたにそんなこと悟られなくちゃいけないのよ……。
「別に、圧勝とかしてないし」
「女がドア蹴ってガラス割るとか初めて見た。おもしろかった」
なんもおもしろくねえよ。
でも、なんだろう、バカにされているようには感じられない。



