狂愛ゴング


ち、と舌打ちをしながらカバンを手にして新庄を追いかけた。途中で泰子に手だけ振って。

……なんでこんなふうに帰るのが当たり前みたいになっているのだろう……。

言われるままに新庄の後ろを歩く自分に、自分で疑問を抱く。まあ、別にいいんだけどさ。

こいつ、本当はどんな人なんだろう。
鬼畜でクソで最低ってことしかわかんない。


「ねえ」

「なんだよ、話しかけんなよ耳が腐る」


小学生みたいなこと言ってんじゃねえよ。


「なんで、見てたの」

「あん?」


あん? じゃねえよ。さっきだよさっき。お昼休み!


「見てたんでしょ? 私があんたの元カノに絡まれてるところ。新庄が原因なんだからちょっと声かけてもいいんじゃないの?」

「なんで俺が。俺は絡まれてないし。お前の問題だろ。知るか」  


はいでたー。

なにこの根性の悪さ。
私の問題じゃないし! お前だよお前! お前が諸悪の根源だろうが。

ぎりぎり、と後ろで歯を食いしばる。
靴を履き替える間もイライラが募って仕方ない。

畜生! こいつのせいで怒られたなんて納得出来ない……。なんでこいつがバカにされたことで私が怒らなくちゃいけなかったんだ。

こいつがどう思われようと私じゃないんだからどうだっていいのに!

それでも……あの子。道江ちゃんとやらは……まだ泣いていたりしたらどうしようか。やっぱり、後味が悪いというかなんというか……。