狂愛ゴング


その、途中の廊下で、壁にもたれ掛かる新庄と目が合った。

くっそう。こいつのせいだ。っていうかなんで私はこんな奴をかばったんだろう。

実際はこんな奴のことどうでもよかったのに。なに切れているんだ私は。ああ、もうこの男は本当に私にとって疫病神だ。

しかも自分は知らんぷり。

相手があの子なら、自分が関わっていることくらい分かっているだろうに。

っていうか。そもそも!

こいつと一緒にいるときにストレス溜まっているからあの女の子の些細な言葉にあそこまでむかついたんじゃないのー!?

平然とした顔で私を見送る新庄を、思いの限り睨み付けた。

くっそー! 今日はさすがに一言くらい文句言わなきゃ気が済まない! 帰りは覚悟しとけよこのやろう!


「せんせー」


私をじっと見つめたあと、新庄はため息混じりに前へ前へと進む先生に呼びかけた。

……なにを言うつもりだ。

この男が口を開くと絶対ろくなことにならないんだから。


「なんだ新庄」


ぴたりと足がとまる。

引きずられていた私も同じように足を止めると、少し息が切れていた。抵抗するために力を入れていたからか。もしくは怒りか。

先生の返事に新庄は「そいつ」と言って私をくいっと顎で指した。


「頭おかしいから説教よりも病院の方がいいんじゃないっすかー?」

「……はあああああああ!? 頭おかしいのはおまえだろ絶対! 私よりも絶対あんたのほうが末期! いや寧ろ手遅れ!」

「ちょっと話かけんなよ。恥ずかしいから」


あんたに恥ずかしいなんて感情があるか!
存在そのものが恥ずかしいくせに!

叫ぶ私に、新庄は眉をひそめて、心底イヤそうな顔で背を向けた。

声を掛けてきたのはそっちなのになんで私が文句を言われないといけないのか。