狂愛ゴング


「いや、別に取り入ったとかではなく。ただいやがらせされているだけなので……正直なところ、関わりをなくせることなら今すぐなくしたいんですけど」


私なんで敬語?
と、自分に突っ込んでみる。


「だったら今すぐ別れたらいいじゃない。あんたがいるから……私が……」


いや、別にあなたが振られたのは私がいたからではないと思うけど?
別れてから出会ったので。

そう言ってやりたいけれど、これは恐らく地雷だろうな。
私もさすがに学習している。なにを言えば大事になってしまうか。


「ウワサで聞いたけど、土下座したら別れられるんでしょ? さっさとすればいいじゃない。出来ないなんていって、別れたくないだけでしょ? あざといよね、あんた」

「…………」


ぴくぴくっと顔が引きつる。
いやいやいや、落ち着け私。

あんなクズに土下座なんてしたくないし、したところであのクズは喜ぶことくらい分かるじゃない……。あんた一応彼女だったんでしょ?

なんでわからないのかなー。あの男の最低な部分をなんで見ないの。
人にアイスのっけるわ、100円すらも貸さずに置いて行くような奴だよ。あんたが付き合っている時どんなことされたかは知らないし興味もないけどさ。

しかも、話を聞いてりゃ私達が付き合っている理由ちゃんと知ってるんじゃない。知ってて私に矛先向けてんのかお前。


「えーっと……んーと」


どっちにしても……彼女にとって、私のせいであろうとなかろうと、どうでもいいんだろうなーということだけは伝わった。

“彼女”と呼ばれる私が、邪魔なんだろう。
ああ、腹が立ってきたぞ。なんで私がこんな目に合わなくちゃいけないんだ。


「そんなに好きなの?」


つい、ぽろん、と出て来た言葉。

その言葉に自分自身で、あ、と思ったけれど、言ってしまったものは仕方ないか。別におかしなことは聞いてないし。