狂愛ゴング





残りの一日は最悪だった。

まるで見せ物のように色んな学生が教室までやってきては、こそこそとなにかを話して去っていく。今までの比じゃないくらいに視線を感じる。

マジであいつの存在が迷惑だ。

地球環境にも悪影響絶対あると思う。怒ると呼吸も荒くなるし、ほら酸素がね。
っていうかあいつが空気を使うことすらもったない!


「あいつに土下座させてやりたい……」


私の言葉に、傍にいた泰子がケタケタと笑う。
笑いごとじゃないわよ!


「澄が逆に土下座させられたもんねー」

「してないわよ!」


そこは間違わないで!

とはいえ……馬鹿みたいに奴の言う言葉を真に受けて、馬鹿なこと口走ってあげく、馬鹿にされて馬鹿を見て……。

あーもう頭禿げそう!!


「どうにかしてやりたい、ちくしょー……」

「新庄くんって、本当に澄に惚れてるんじゃないの?」


気持ちの悪いこと言わないでくれませんかね!! 寒気がする! 鳥肌もんだね! 気持ち悪い吐きたい!


「ありえないありえない! 嫌いだからあんなことしても笑ってられるのよ! カスよただのカス!」


あいつから好きとか聞くだけでこの人生もうおしまいな気がしてしまう。いやもう現時点で終わりに片足くらいは突っ込んでる。

もういやだ! あいつに振り回されるのはいやだ!
大人だ、大人になろう私! 怒らないようにしよう。そしたらあいつも飽きるんじゃないだろうか。


「よし、泰子! とりあえず帰ろう、今日は!」


最悪な今日をさっさと終わらせよう。
そう思ってカバンを手にして振り返る。


「おら、帰るぞ」


……偉そうな王様がまた来た……っていうかひとりで帰れよ。そんなこともできないのか。脳みそと一緒で本当にガキだな。