狂愛ゴング


「……新庄、さん……」

「ん?」


くっそ。


「新庄さん! もう絡まないから! すみません! 別れて下さい!」


やけくそだ。
どうにでもなれ。

コレで別れられるんなら安いもんだ!! もう二度と振り回され、遊ばれることがないなら、これくらいどうってことない!

どうだ! と叫んでから新庄を見ると——……。


笑いをこらえている……顔。

なにこの顔。こんな顔初めて見た。顔を真っ赤にして、震えている。……いやいやいや、なに笑ってるんですか。


「ホントに言うんだ……ほんっっと面白いなお前」

「……は?」


はあっと大きく息を吐いて、新庄は少し乱れた呼吸を整える。
そしてずいっと私の顔の前に顔を近づけてにこっと微笑んだ。


「い、や」

「はあ!?」


顔近い! でもそれ以上に!


「なんで!? 言えばいいって言ったじゃない!」

「嘘だよ、嘘。確かに俺、お前のこと好きじゃないんだけどだからこそ……お前いじめるのになんの躊躇もないし。お前はお前で俺が嫌いで、だからこそ分かりやすく怒るし。こーんな楽しいもの手放すわけねーじゃん!」


けたけたと今までにないほどに笑う新庄に言葉を失った。

いや、いやいやいやいや。おかしいでしょうが!


「あ、チャイム」


校内に響き渡るチャイムが……私の負けを……告げるような気がした。
いや、まさか! そんなことあっていいはずがない!


「じゃーな、澄」


……名前で……よぶんじゃねええええええ!!!! 私の名前が腐る!!