ムカムカする。なんでこんなえらそうに言われないといけないんだ。
いや、確かにひとりで食べるのは淋しいけど。生憎教室でひとりで食べることには慣れている。小学校からみんなに問題児扱いされた私にはそんなこと朝飯前よ。
——だからこそ。
だからこそ、もういやだなー……と、想う気持ちはある……。
ぐっと言葉に詰まる私を、新庄は鼻で笑った。
本当にいやだこの男。
奥歯をぐっと噛んで、そして思いきり顔を上げた。
下から睨むからダメなんだ。もっと堂々とすればいいんだ。だって私負けたくないもの!
「私はひとりで食べられるけど、どーしてもっていうなら、新庄と食べてあげなくもないよ?」
「は? とうとう頭狂ったのか。誰がお前と食べるか」
「まー別にそれならそれでいいけど? 自分から付き合おうなんて言ったって、口先だけでなにも出来ない男だもんね? 嫌いな女とご飯なんか食べられないんだよねー? 自分から歩み寄ろうとか言ってたけど、まあ、できないなら仕方ないよね?」
ふふん! どーだ!
「……誰がそんなこと言ったよ。俺はお前がいやなんだろうなーって気を遣ってやってるんだよ。お前と飯食うくらいできるし、バカじゃねえの? お前のほうができねえだろーが」
「はあ? できますけど? 私のせいにしないでくれる?」
私に食らいついてくる新庄。
負けじとしがみつく私。
教室のドアをふさぐように言い合いをはじめる私たちに、クラスメイトも廊下にいる学生も視線を送ってくるけれど、そんなの気にしてられない。
今は勝つか負けるかの勝負してるんです、私たち!



