「そもそも……あんたが付き合うとか言い出すからじゃんか」
「あ?」
「ナンデモナイデス」
……くそう。
ムダにでかくて威圧感があるから、言いたいこともいえないじゃないか。私ともあろう者が。悔しい悔しい。
しかも私間違ったこと言ってないのに!
「めんどくせ」
「はい?」
「飯食うんだよ。うっせーな」
うるさい!? うるさいってなに!? お前の日本語がおかしいんだろー! ちゃんと日本語しゃべってくださいませんかね! 会話にすらなってないじゃない!
「行けば? 私は友達と食べるから。ひとり淋しく食べれば?」
誰があんたなんかと食べるか!
あんたの薄情な友達とちがって、私にはちゃんと友達がいるんだから!
「……友達ねえ。その友達っていまあの輪っかにいる奴だろ?」
「え?」
しらーっとした視線を教室の中に向けて呟いた新庄に、意味が分からず私も教室の中を見た。
さっきまで、私の席の前には泰子がお弁当を広げていたはずなんだけれど……。
その泰子はといえば、いつのまにか他の女の子の席できゃっきゃ笑いながら食べ始めている。
泰子……なんて薄情なの……。
「大層仲がいいんだなー」
「ぐ、うぐぐ……」
ちっくしょー! 泰子のバカ!
「ひとりで食べるのが淋しいなら、一緒に食べてやろうか?」
「淋しくないし、あんたと食べるくらいならひとり便所で食べた方がマシよ!」
「お前にピッタリの場所じゃん」
私はそんなに便所臭くないわよ!



