っちきしょー! あんな男に頼った私がバカだった! さっさと断ればよかったんだ! すっげえ恥ずかしいんですけどね! あの揚げたてのポテトがかわいそうだと思わないのかあいつは!
っていうか貸せよ! 100円くらいよこせ!
私のことを驚きの目で見てくる人たちを押し分けて歩いて行くと、ガラス張りになった店内から、新庄がムカツク笑顔で私を見つめていて視線がぶつかる。
なにそんな満足気な顔してんだお前。
私の反応がそんなにも嬉しいかコノヤロウ。
ぎろり、と多分ちょっと半泣きの私の睨みに、新庄は優しい微笑みを向けて、口パクで「バーカ」と告げ、ひらひらと手を振った……。
くっそーーーーー!
・
新庄と絡み始めてからなんだってこう毎朝重い気分で学校に行かないといけないんだ……。まだ2日目だけど。
うーううー。
怒りでぐっすり眠ったって言うのに、未だに身体がだるい。怒りすぎて身体も疲れてしまったんだ、きっと。
思い出しても腹が立つ。
一緒にご飯を食べなくて済んだんだからよかったのかも知れないけど……。
未だにジロジロと向けられる視線。ったく……。この人達本当に私と新庄が付き合ってるとでも思っているわけ?
そんなわけないじゃん。私と新庄がふたり並んできゃっきゃうふふと恋人同士出来るとでも?
100円も貸してくれないのに!
「今日も絶好調で人気者ね」
教室のドアを開けると泰子が面白そうに声を掛ける。
『おはよう』の言葉の前にそのセリフを口にするなんて、相当楽しんだろう。
私はちっとも楽しくない。
泰子に「ハイハイ」と適当な返事をして席を目指す。



