狂愛ゴング


そんな……そんな理由で!? それだけで? たった一瞬顔を合わせて、ほんの一言二言、文句を言っただけじゃないの!?

そんなことで……ここまでする!?
しかも女の子に!? 私女の子なんですけど!

口をぱくぱくとさせる私の顔を見て満足そうに新庄は笑い出した。

なんでこんな状況でそんなにも笑えるの? 困ってるんだけど! そもそもこんなことしたら誰だって困るでしょ?

なにがそんなに楽しいっていうのよ!
子供みたいな顔して笑いやがって! なにが1番悔しいって、極上の笑顔ではないけれど、今の笑い方のほうが自然でかわいいってことだよ!

なんだよちくしょう! 今すぐブサイクになれ。

信じられない。
信じられない……!!

こんな人が一緒の人類でいいわけ? いいわけないっつの!
あんたみたいな0.5くらいのことを100倍で返すような奴がいるから戦争が起こるんじゃないの!?

戦争はあんたのせいなんじゃないの!?


「じゃーな」


そう言ってひらひらと手を振って新庄はとうとう私に背を向ける。


「——……外道!!!!」


力の限り叫ぶ。

小さくなっていく新庄の背中に向かって。

叫んだ瞬間に、自分の持っていたアイスクリームもぼとりと地面に落ちて私の靴をべっしょりと汚した。

こつん、と頭に乗っていたコーンも床に落ちる。