狂愛ゴング


「早く取れよ。落とすぞグズ」


……口は悪いけれど。
っていうか、なんなの一体。なにこれ。


「早く取れよ! 腕がいてーんだよ」

「え、あ、チョコミント……食べれない」


あ、と、思ったけれど、すでに口にしてしまった言葉に、新庄は信じられない、と言いたげに眉をひそめた。

つい、素直な心が。


「こっちは?」


ずい、と差し出されたのは、新庄が食べようと思っていたんだろう、チョコレートアイス。

こいつ、チョコレートが好きなのかな。


「あ、りがと、う」


おどおどと手を伸ばして受け取ると、新庄ははぁーっとめんどくさそうな顔をして、私の断ったチョコミントを口にする。


「あ、え……お金!」

「払うよ。それくらいは払えるし誘ったの俺だしな」


は? え? ……あれ?
……え? なんだこれ。


「いつまでつったってんだよ。ホントにブタかお前」


……はいはいはいはい。

しぶしぶと未だ理解出来ない頭のままついていく。ちらっと新庄を見ると、アイスクリームを食べる新庄の姿になんだか違和感を抱いた。

こんな外道でもアイスクリームとか食べるんだ。似合わないな。

でも……本当にいいのかな、これ、食べても……。

いやうれしいけど……なんか……あるんじゃないの?

もしかして、ウワサほど悪い人じゃないとか?

ウワサは誇張されるものだし……一応一般常識はあるのかも?

……いやいやいや、まて。そんな人物が人のプリント目の前で踏みつけるか!