狂愛ゴング


バカにしたような視線を向けてから、また背を向けた新庄。憎らしいったらない。なんなのあいつ!

ドスドスと新庄の隣に並んで睨み付けると、新庄は「ハン!」と鼻で笑って「きったねえ歩き方」と呟いた。


む……むっかつく……!!
さっきから好き放題言いやがって。


「人のことけなすしか脳がないの?」


クソ新庄。ふんっと鼻息荒くそう言うと、新庄はがしっと私の肩を掴む。

肩を組むとかそんな色っぽさは1㎜もない。
ドキドキするのは、紛れも無く、恐怖。

その冷たい視線やめてくれませんか。ムカつく発言も苛立つからいやだけど、その目はマジで人のもんじゃないと思うの。

……っていうか痛い! 痛い痛い! 肩に! 肩に爪が食い込んでる!


「ほんっとお前……面白いなあ」


面白いだなんて全く思ってない癖に……!

苛立ちがプンプン香ってきますけど!? 痛いんですけど。

だから痛い! そして苦しい! 何気に首を絞めないで!!

ぱっと手を離されて、息苦しさから解放されると一気に空気を吸い込んだ。

なんだ女の子に手を出さないとか嘘!? このままだったら殺されそうなんですけど私! まだ死にたくないよ!


「ほら」

「——は?」


すーはーすーはーと肩で息をする私に、チョコミントのアイスクリームが差し出された。

気がつけばウワサの新しいアイスクリーム屋さんについていて、新庄が勝手に私の分まで頼んでいてくれたのか、新庄は、二つのアイスを手にしている。

店の中でしか食べられないと思ったけれど、豪華なアイスでなければテイクアウトが可能らしい。

しかもこいつこの店知ってたんだ。なんだか意外だな。